昔の日記から
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今日の悪夢は二本立てだ。
僕が講師をする研修会もいつの間にか最終日になっていて、僕と受講生達はもう決定的にディスコミュニケーションに陥っている。どの言葉の不信を拭うこともできず、僕はそのことに強くあせりと落胆ととげとげしさを感じながら言葉を発しつづける。現実世界はかろうじてまだ2月だが、起きているシチュエーションは最近の現実の僕の傾向と大して変わらない。やるべきことをやらなかった報い。
いま一つは夜のバーだ。コーヒーに焼酎を混ぜて僕は飲みつづける。新しくオーダーして会話の流れを中断する勇気が僕にはないからだ。目の前には元バーテンの若い男がやってきて、僕を強く無視したまま同席する他の人達と話し始めた。僕のこれまでにした何かが彼の逆鱗に触れたのだろう。それが何なのか、僕には心当たりが多すぎてわからない。
悪い夢特有のくっきりとした感情記憶とともに目が覚めると隣には女がいる。彼女の今日の目覚めはよりにもよって最高なものだ。「私はうじうじした男は嫌い」的な冷笑で二本立てにやられて弱りきった僕を見ている。「悪い夢を見た」と僕は言う。「でも正確にはこれは夢なんかじゃないんだ。こっちが本当に本当の僕の姿なんだから。」
彼女のうんざりとした表情。しかし僕が彼女だったとしても同じ表情になるだろう。久しぶりの熟睡から覚めたすがすがしい朝なのに、隣にネガティブな言葉を垂れ流しつづける生き物がいるのなんて誰だって嫌だ。
弱さをとるか、弱さを隠して生きる弱さをとるか。
ウンコ味のウンコを食べたほうがよっぽどハッピーになれるくらいに絶望的な僕の二択。